2023年9月13日水曜日

最近の調査から、子供たちの中には語彙力が不足しているケースや、不適切な言葉を用いる傾向が見られるとされています。特に「キモい」といった表現は、相手を傷つける可能性が高く、場合によっては不登校につながることもあるのです。

私たちが働く高校では、専門的なスキルを教えることが重要ですが、それと同時に人として必要な基本的なスキル、特にコミュニケーション能力も重要です。言葉は人と人との関係を築く基礎であり、その言葉遣い一つで相手に与える印象が大きく変わります。

ですので、私たち教員は、この問題にもしっかりと向き合い、生徒たちがより良い言葉遣いを身につけられるように指導していくつもりです。それが、ただの知識や技術を教える以上の、教員としての大きな役割だと考えています。

言葉を選ぶ力は、社会で生きていく上で非常に大切な能力です。私たちはそれを理解し、生徒たちにもその重要性をしっかりと伝えていきたいと思います。

2023年9月12日火曜日

最近、各地の教育委員会が教員不足に対応するための魅力発信活動に力を入れていることをご存知でしょうか。工業高校工業科としても、これからの教育の未来を担う人材の育成は非常に重要であり、この動きを注視しています。

例えば、宮崎県教委は、中学生を対象に「ひなた教師ドリームカフェ」を開催。このイベントでは、教員の仕事の魅力や実際の仕事風景などを紹介し、中学生たちに教員という仕事への興味を持ってもらうための活動を行っています。

また、静岡県教委は「中高生のための教職セミナー」を10年以上も続けており、これにより多くの中高生が教職の魅力に気づき、教員を目指すきっかけとなっています。

さらに、千葉県教委は、教員養成のための取り組みとして、県立高校に「教員基礎コース」を新設。これにより、高校生から教員としての基礎を学ぶことができるという画期的な試みを進めています。

しかし、現場の声としては、働き方改革の必要性を訴える声も多く上がっており、働く環境の整備も今後の課題として残されています。

私は、民間企業での勤務経験を経て、教員となりました。それぞれの職場には独自の文化や魅力がありますが、教員として働く魅力とは何でしょうか。

私が特に感じているのは、教員には「早い段階で自己裁量権による活動が行える」という点です。多くの企業では、新入社員や若手が大きなプロジェクトに関わる機会は少ないものです。しかし、教育現場では、一人ひとりの教員が持つ役割、影響力は非常に大きく、初めて教壇に立ったその日から、生徒たちの人生に影響を与える責任と機会をもつことができます。

このような自己裁量権を持つことで、教員は教育の質を向上させるための新しい方法や教材を自ら選ぶことができます。また、その実践を裁量権のもと、すぐに生徒たちに行い、そのフィードバックをすぐに得られることで、高いやりがいを感じる瞬間も多くあります。

もちろん、前段でも触れたように、働き方改革や教育環境の改善も急募の課題としてあります。しかし、そうした問題を乗り越えてでも教員として働き続けたいと感じる瞬間が、この職には数多く存在するのです。

これからも教員の育成や教育環境の改善に注力していきたいと考えております。

2023年9月10日日曜日

自分を知る

 

The main thing in life is to know your own mind.

人生で大切なのは、自分のしたいことを自分で知っているってことだよ

                                                            ——————スナフキン

2023年9月6日水曜日

GIGAスクール構想と未来の教育

先日、GIGAスクール構想に焦点を当てた校長サミットが開催されました。埼玉県戸田市の教育長や東京学芸大学の教授、上智大学の教授といった様々なバックグラウンドを持つ専門家たちが集まり、これからの学校教育に何が必要か、という非常に重要なテーマについて議論が交わされました。


AIと教育の限界

AIが教育にもたらす影響は大きいですが、その限界も確実に存在します。例えば、AIは情報を整理したり、疑問に答えたりする点では優れていますが、"思いやり"や"共感"といった人間特有の資質を教えることはできません。工業高校においても、技術の進歩とともにAIの活用が進む一方で、人間が持つべきスキルを育成する教育が今後ますます重要になってくると感じています。


コンピテンシーベースの教育

今後は「知識を詰め込む」教育から、実際に行動できるスキルを身につける「コンピテンシーベース」の教育が求められます。工業高校でいうと、実際の機械を触ることでしか得られない技術や、困難な状況で冷静に判断を下す力などがそれに当たるでしょう。


真実を見抜く力

子どもたちがインターネットの海で自ら真実を見抜く力を身につける必要があります。この力は、教科書だけでなく、多角的な視点から情報を整理、分析する力として必要です。工業高校でも、機械やソフトウェアの仕組みを理解するだけでなく、その背後にある目的や社会的影響を考察する教育が重要となります。


終わりに

今回のサミットで議論されたポイントは、工業高校にも大いに関連しています。技術だけでなく、人間力も育む多角的な教育が、これからの時代に適応するためには不可欠です。私たち教員は、このような進化するニーズに応えられるよう、日々勉強と努力を続けていきたいと思っています。

2023年9月5日火曜日

東京都港区の先進的な修学旅行計画

今日は最近知った興味深い教育の取り組みについてお話したいと思います。東京都港区の公立中学校が来年度から全ての3年生を対象に、シンガポールへの修学旅行を計画しているとの報道がありました。これは都内で初めての試みで、英語教育や国際理解教育の強化が主な目的です。実に760人もの生徒が3泊5日の日程でシンガポールを訪れる予定で、そのための事業費は約5億1272万円となるそうです。そして、驚くべきことに、各家庭からの負担は国内修学旅行と同等の7万5000円程度に抑えられるという点が特に注目されています。

この事例は、教育の現場でいかに国際教育が重要視されているかを顕著に示しています。特に私たち工業高校にとっても、この話題は非常に関心が高いものです。今やグローバルな視点や多文化への理解は、専門的な技術教育だけでなく、一般教養としても非常に重要です。

港区のこのような斬新な試みは、他の学校や地域、そして教育方針そのものにも新しい風を送り込むことでしょう。我々教員も、このような社会の変化と教育の進化に柔軟に対応していかなければなりません。このような取り組みに触れることで、今後も更なる教育改善の方向性を模索していきたいと思います。

2023年9月4日月曜日

保護者は進化を求めています。

今回は、教育現場での生成AI(人工知能)の活用について、保護者の希望や懸念について考えてみたいと思います。

最近の調査によると、イー・ラーニング研究所が行った調査によれば、6割以上の保護者が小学生のうちから生成AIの活用を希望していることが明らかになりました。これは、技術の進化によって教育における新たな可能性が広がっていることを示しています。

しかし一方で、保護者たちはいくつかの懸念も抱えています。例えば、「思考力が育たなくなる可能性」や「誤った情報を学習してしまう可能性」などです。これらの懸念は、生成AIが提供する情報や回答が正確であるかどうか、また生徒たちの創造性や批判的思考力をどのようにサポートするかといった点に関連しています。

実際、保護者の多くは生成AIを直接使用したことがなく、その使い方や制限についての知識が限られていることが示されています。このため、生成AIを適切に活用するためには、保護者のリテラシー向上が必要不可欠です。教育機関や専門家による情報提供やワークショップなどを通じて、生成AIの利点や限界、適切な使い方について理解を深めていくことが重要です。

教育現場においても同様の議論が行われています。私たち教員も、技術の進化に伴い、どのように生成AIを活用し、生徒たちの学びをより豊かなものにしていくかを考える必要があります。確かに、知識の提供だけでなく、生徒たちが情報を批判的に評価し、自ら考える力を養うことが大切です。

生成AIは道具であり、その使い方次第で教育の質を向上させる手段となる可能性があります。しかし、その活用には慎重な検討と適切なガイドラインが不可欠です。保護者、教育関係者、専門家が協力して、未来の教育を築いていく過程で、良き方向に進めるよう努力していきたいものです。

2023年9月3日日曜日

進化

 スティーブ・ジョブズのことばより

「僕はパーソナルコンピュータと

 自転車とを比較したいのです。

 なぜなら、それは、

 人が生まれながら持つ精神的なもの、

 つまり知性の一部を拡大する

 道具(ツール)だからです。」


教員である私は、生徒たちが成長(進化)することは重要な要素と考えています。
当然、自分自身も進化し続けなければならないと考えています。
そのためには、テクノロジーを道具(ツール)として活用することは、教員の必要スキルのひとつであると私は考えています。

2023年9月2日土曜日

高校生と生成AI:未来の教育に何が必要か

今日は最近日本財団が行った17歳から19歳の高校生を対象としたアンケート調査について書きます。この調査によると、約1割の生徒が夏休みの宿題で生成AIを活用していました。さらに、3割が授業で生成AIの仕組みやリスクについて学んだと答えています。そして、生成AIを知っている人のうち、2割がその影響で将来の夢や興味のある科目が変わったとも言っています。

この結果は、工業高校に興味を持つ方々にとっては非常に示唆に富んでいると思います。AIがもはや私たちの生活や学習に欠かせない要素となってきていることが明らかです。特に、工業高校の生徒たちは技術の最前線で学び、将来のイノベーターとなる可能性が高いですから、このような最新技術に早くから触れ、理解することが重要です。

教員として考えると、ただ科学や技術の知識を教えるだけでなく、新しいテクノロジーがもたらす社会的・倫理的な問題についても議論し、生徒たちがより深い理解と洞察を持つよう指導する必要があります。そして、それはもちろんAIに限った話ではありません。しかし、AIの普及によってその必要性はより一層高まっています。

最後に、この調査で明らかになったように、新しいテクノロジーが生徒たちの将来に与える影響は少なくありません。私たち教員は、そのような変化に柔軟に対応し、生徒たちが未来で成功するために必要なスキルと知識を提供し続ける責任があります。これからもその使命に努力して参ります。

2023年9月1日金曜日

日本の工業高校における「当事者意識」の重要性―スティーブ・ジョブズの教訓を参考に

 こんにちは、高等学校工業科の主任として、興味をお持ちの皆様に向けて、今日は「当事者意識」についてお話したいと思います。Appleの創業者であり、多くの革新的な製品を生み出したスティーブ・ジョブズは、会議において特に当事者意識を重視していました。主体的に参加でき、責任を持つ人物だけを選抜していたという話はよく知られています。

この考え方は、日本の工業高校教育にも大いに役立つと考えます。残念ながら、日本の多くの会議や教育現場では、当事者意識が希薄で、これが成果を出す上での障害となっています。特に、「主語を“I”にできるリーダー」という考え方が少ないのが課題です。これは、責任を逃れる文化や集団主義が影響しているのかもしれません。

しかし、これからの時代、工業高校の生徒たちが社会に出て成功するためには、この当事者意識が非常に重要です。技術の進化や業界の変化は急速で、受け身の姿勢ではついていくことはできません。生徒たち一人ひとりが、自分の成長と学びに責任を持ち、主体的に行動することが求められます。会議の効率性も同様で、目的を明確にし、バリューを出せない人を選ばないようにすることが、全体の成果につながります。

さらに、教員も進化し続ける必要があります。今までのように単に「教える」だけでなく、「導く」存在となるべきです。そのためにも、自らも学び、更新し続ける教員でなければ、工業高校教育の価値は薄れていくでしょう。

当事者意識とは、自らが行動の主体であると認識し、その結果に責任を持つという意識です。この当事者意識を持つことで、生徒も教員も一緒に成長できるような環境を作ることが、今後の工業高校教育においても非常に重要なテーマとなるでしょう。

ありがとうございました。

 皆様に重要なお知らせがあります。これまで私が務めてきた本校電気科主任として、教育や最新の工業技術トレンドに関する情報を発信してきたこのブログですが、人事異動に伴い、私は多度津高校への異動となりました。それに伴い、このブログの更新を終了することとなります。 サイトの運営は次の科...